
SNS等で、よく「近所で野良猫に餌やりをする身勝手な人がいて腹が立つ」「うちの庭が野良猫のトイレにされている!」などといった憤りの声を目にすることはありませんか?
筆者自身も、TNRを済ませた地域猫に自宅ガレージ内で餌をあげていたとき、ご近所さんから「野良猫がうちの敷地を通ることがあって迷惑です」と注意を受けてしまったことがあります。
あわてて謝り、地域猫について説明をさせてもらいました。
しかし別の日には、近くに住む小学生らしき女の子たちが「猫ちゃんかわいい!飼ってるんですか?」と、明るい笑顔で元気よく話しかけてくれたのです。
地域猫は、迷惑にも癒しにもなる存在。その分かれ道は、人間による餌やりの仕方にあるのです。
今回のラグリエ読みものでは、地域猫がご近所に迷惑をかけないようにする餌やりマナーや成功例などをご紹介します。
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もくじ
TNRの意味は?野良猫と地域猫との違い

まずTNR(ティーエヌアール)というのは、T=Trap(トラップ):捕獲器で捕まえる、N=Neuter(ニューター):不妊手術を施す、R=Return(リターン):元いた場所に返す、という地域猫活動のこと。
オス猫は去勢手術、メス猫には避妊手術をして「この猫は不妊手術済みです」という目印として、麻酔中の眠っている際に耳の先を少しカットします。
そうして晴れて野良猫と呼ばれる存在から、その地域でのびのびと過ごせる地域猫となるわけです。
地域猫は不妊手術を済ませているので、それ以上子猫を産んで野良猫が増えるという心配もなく、一代限りの命として暮らします。
カットした耳の形状が桜の花びらに似ていることから、地域猫のことを「さくら猫」と呼ぶこともあるのですよ。
TNRを済ませた地域猫には、その近隣に住むボランティアの人が、毎日餌やりをしてあげるのが通例となっています。
地域猫をめぐるトラブル事例

しかし、世の中には猫好きな人ばかり集まっているとは限りません。猫が嫌いな人や、苦手だと思っている人も存在します。
地域猫への餌やりの仕方によってはご近所迷惑となり、近隣トラブルが起こってしまうことも…。
たとえば、ボランティアが気が向いたときだけ餌やりをしていたとしたら、地域猫たちは飢えに耐え切れずゴミ置き場あさりをして、道路にゴミを散らかしてしまうかもしれません。
そうならないためにもTNRを済ませた地域猫には、毎日きちんと餌やりを続けることが大切です。
安く見積もっても、ひと月の餌代が1,000円かかるとして、年単位では1万円以上の費用が必要となります。もしもあなたがこれから地域猫活動をしようと思っているならば、経済面でその負担がかかっても大丈夫かどうか、よくよく考えてからにしてください。
そしてTNRを施さず「食べられないと可哀想だから」などという安直な理由で、不妊手術をしていない野良猫に餌やりだけをするのは、もっとも無責任な行為とされます。
近隣トラブルになりやすいのがこのパターンで、メス猫は多いときで年に3回も妊娠し、一度に5~6匹もの子猫を産むため、すぐに地域一帯が野良猫だらけになってしまうことでしょう。
最悪のケースを挙げると、飼い主のいない産まれたての子猫は世話をするのに手間がかかるため、一番初めに「殺処分」をされてしまう対象となるのです!(参照:環境省HP)
身勝手な気持ちから無責任に餌やりをして、野良猫をさらに苦しめることにならないよう、十分に気をつけなければなりません。
地域猫活動の成功例とご近所との良い関係

不妊手術をすると言うと、決まって「自由に生きている野良猫を、無理やり捕まえて子猫を産めないようにするなんて酷いんじゃない?」と眉をひそめる人々が出てきます。
しかしTNRは猫にとっても人間にとっても、非常に大事な活動なのです。TNRをおこなって野良猫の数が減少すると、近隣トラブルも確実に減ります。
猫嫌いな人も、自分が住む地域に野良猫が増え続けるのは、決して喜ばしいことではないはず。
そしてTNRを済ませた地域猫を地域ぐるみで見守っているうちに、自然とご近所の子どもや高齢者との温かい交流が生まれます。
冒頭で筆者が餌やり中に、小学生の女の子たちから笑顔で話しかけてもらえたという、嬉しいエピソードをご紹介しました。
他にも、小さなお子さんを連れたママさんから「毎日ここにいる猫ちゃんがかわいくって。コンビニで猫のおやつを買ってきちゃったんですが、あげてもいいですか?」と訊かれたこともあります。
また、80代だと思われるご近所のおじいさんに声をかけられ「いつも餌やりをしてくれてご苦労さま。私も猫が大好きで、昔はついつい拾ってしまい3匹飼っていて…」などとその場で会話がはずみ、ほっこり気分にさせていただいた経験もあるのですよ。
餌やりマナー&近隣トラブル防止策は?

ボランティアが気をつけるべき餌やりマナーとして、毎日決まった時間に同じ場所で与えるようにするといったことがあります。
地域猫は自分たちの手で、あと片付けができませんよね。
食べ残したものをそのまま放置しておくと、腐った餌が異臭を放って近隣に迷惑をかけたり、地域猫以外の凶暴な野生動物を誘い込んでしまったりしかねません。日が落ちて暗くなる前に、食べ残しはきちんと片付けてください。
またご近所の庭先などに糞尿被害が及ばないよう、餌やり場の近くに大きめの猫用トイレを置いておいて、ボランティアがトイレの掃除をできるようにするのもマナーのひとつ。
そこに住む地域の人たちで話し合いをし、地域猫への餌やりルールを決めることができればベストです。
以下のようなことが、地域猫への餌やりマナーのポイント。
・猫嫌いな人にも配慮し、自宅の敷地内など迷惑がかからない場所でおこなう
・食べ残しの餌はちゃんと片づける
・毎日決まった時間に餌やりを続け、途中放棄はしない
・餌場には猫用トイレも設置する
・不妊手術していない野良猫を見つけたらTNRを(行政を通じて愛護団体に相談すると◎)
間違っても近隣トラブルを起こして、その土地に住みづらくなってしまうような事態にならないようにしたいもの。
TNRや餌やりのボランティア活動をしようと思ったならば、猫だけではなく近所の人たちにも気遣いを心がけることが大切です。
地域猫を守ることは、人と猫が笑顔で暮らす第一歩

周りの人たちへの迷惑を減らす工夫を知ることは、地域に笑顔が増えることにつながります。
本来ならば猫は、人にかわいがられて室内で暮らす愛玩動物であって、野生動物ではありません。飼い猫を外に捨てるような心ない人間がいるせいで、野良猫が出てきてしまうのです。
きちんとTNRを施して、マナーと常識を守った餌やりを続けていれば、地域猫は近隣の人たちにも幸せな気持ちと笑顔を与えてくれる癒しのシンボルとなります。
もしも自宅近くで猫を見かけたら耳カットがされてあるかどうか、ぜひ確認してみてください。
都市部では特に、ご近所との付き合いが昔よりも減ってきてしまっている現代。地域猫の存在を通じ、近隣の人たちと笑顔での会話や温かな交流がどんどん増えれば理想的です。
地域猫に餌やりをする人は、まず自分のほうからご近所さんへ「おはようございます」など積極的に挨拶をしてみてはいかがでしょうか。
挨拶という、たった一言のアクションを起こすだけでも、餌やりボランティアや地域猫への印象はガラリと変わってくるはず。
地域猫に優しい街は、人にも優しくできる街。そんな穏やかな街で暮らしてみたいですよね。
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百花繚乱
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