
レトロスポットを年300軒巡る、レトロさんぽです。
前回の東京都庭園美術館編に続き、今回は純喫茶の床を巡ります。
昭和に親しまれた純喫茶は、一つとして同じ空間がなく、店ごとに違った表情があります。
どこかほっとするような居心地の良さや、毒気を感じるところも惹かれるポイントで、そこには店主の「美意識」や「好き」が色濃くにじんでいます。
そんな、誰かのこだわりがそのまま空間になったような純喫茶が、私は好きです。
今回は、そんな純喫茶のなかでも、とりわけ印象深い床を持つお店を3つ紹介します。
もくじ
足元まで世界観たっぷり「古城」

東京・上野には、昭和の面影を色濃く残す純喫茶が今も点在しています。
そのなかでも、「上野三大純喫茶」のひとつとして知られるのが「古城」。
1964(昭和39)年、東京オリンピックの年に創業した店内は、当時のオーナーさんが抱いていたヨーロッパへの憧れをもとに、作りこまれたものだそう。

入口に立った瞬間から、店内に漂う重厚な雰囲気に心をつかまれます。
やわらかく灯る照明と大きな絵画が目に飛び込み、古城という名前の通り、本当にヨーロッパの古城に迷い込んだような錯覚に陥ります。

店内に整然と並ぶ椅子は、どこか列車の座席のよう。
頭部分に掛けられた繊細なレースのやわらかさとは対照的に、壁やパーテーションには重厚な石が使われていて、独特な空間を演出しています。

天井には巨大なシャンデリア。
直線的で重厚なフレームに、花のようなガラスシェード。華やかさと落ち着きが同居する、なんとも面白いバランスのランプです。



そしてユニークなのが、床!
足元を見るとカラフルな色に、ツタのように伸びる模様が広がっています。ツタに導かれるまま歩いていると、少しずつ印象が変わっていくのも楽しいです。


最後は、ステンドグラスの前の席に座ってサンドイッチと紅茶を。
この席が好きな理由は、ステンドグラスの光がカップの表面にやわらかく浮かび上がるから。何気ないひとときまで、特別に見せてくれる特等席です。
鮮やかなグリーンのレトロタイルに出会える「欧風菓子 白鳥」

2軒目の純喫茶は、1966年(昭和41年)創業の「欧風菓子 白鳥」です。
当時はまだ珍しかった、ヨーロッパのお菓子文化を届けたいという想いから始まったお店で、1階は洋菓子店、2階は喫茶店になっています。
グリーンの看板と白鳥のマークが、街の中でもひときわ目を引きます。


お店に入った瞬間出迎えてくれるのが、このエメラルドグリーンの色合いが美しいレトロタイル!
ここまで鮮やかな一面のグリーンを見たのは初めてで、思わず足を止めて見入ってしまいました。
八角形の中に花を思わせる繊細な模様が、ぼんやりと浮き上がっているのも、可愛らしいです。


純喫茶といえば、赤いベルベットの席を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、このお店の2階に広がっていたのは、深いグリーンのソファーと椅子。
創業当時から変わらない光景が、今も静かに残されています。

ぷっくりと立体感のあるブラウンのタイル壁も素敵。
深いグリーンのソファーとの色合わせが美しく、つい長居したくなるような落ち着く空間です。

看板メニューは、白鳥をモチーフにした「スワンシュー」。
乙女心をくすぐる可愛らしい見た目ですが、味は意外にもやさしく素朴。甘さ控えめで、昔ながらの洋菓子店らしいほっとする美味しさです。
レトロな絨毯とタイルを楽しむ「コーヒーの大学院 ルミエール・ド・パリ」

最後に紹介したいのが、1974年(昭和49年)創業の老舗喫茶、「コーヒーの大学院 ルミエール・ド・パリ」。
大学院という少し変わった名前には、「最高のコーヒーを出したい」というこだわりが込められているのだそう。


店内は、あえて綺麗に統一しすぎていないからこそ、席ごとに異なる空気感を楽しめるのが特徴です。
入口付近は、赤を基調にした壁や絨毯に囲まれたドラマチックな雰囲気。
奥へ進むと、艶のある木壁や絵画に包まれた、クラシカルで落ち着きのある雰囲気へと変わっていきます。

さらに奥へ進むと現れるのが、オーキット特別室。
シャンデリアのやわらかな光に照らされた花のモザイク画は迫力たっぷりで、喫茶店にいることを忘れてしまいそうなほど豪華で贅沢な空間です。



もちろん、足元まで抜かりありません!
深い赤に黒が溶け込む花柄の絨毯は、レトロな色気を感じる佇まい。一方で、少しくすんだこっくりとしたタイル床は、空間に落ち着いた深みを添えています。
さらに、オーキット特別室へ向かう共用部分の床も見どころ。
花のデザインが見る角度によってちらちらと輝き、足元を眺めながら歩くだけでも楽しくなります。

このお店では、純喫茶の定番のメロンソーダをいただきました。どこを切り取っても絵になる、お気に入りの席を見つけたくなる純喫茶です。
純喫茶の足元に広がる昭和レトロな床模様
今回は床が印象的な純喫茶を3つ紹介しましたが、気になるお店はありましたか。
何気なく歩いている足元にも、お店の歴史やこだわりがぎゅっと詰まっています。
ぜひ純喫茶を訪れた際は、コーヒーやスイーツだけでなく、足元の景色にも目を向けてみてくださいね。
レトロさんぽさんのInstagram
今回ご紹介した純喫茶の投稿は、レトロさんぽさんのInstagramでもご覧いただけます。
https://www.instagram.com/p/C33YB6dPol5/?img_index=10
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