クッションフロアを購入する際に「長さは自由に決められるのに、幅のサイズが決まっているのはどうして?」と疑問に思ったことはありませんか。
実はクッションフロアの幅は、ある規格に基づいて設定されています。
今回は住宅設計・建築において必要不可欠なモジュールについて解説し、クッションフロアの幅にまつわるヒミツを紐解いていきます。
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もくじ
住宅建築の寸法の歴史
住宅を設計・建築する際に必須となる寸法は、近年まで長さや単位が統一されていませんでした。
ここでは、日本の住宅建築に用いられる寸法の歴史を紹介します。
日本古来の住宅建築の寸法は尺貫法
尺貫法とは、日本で古くから使われてきた長さや重さなどを示す単位の一つです。
尺貫法では長さは「尺」、質量(重さ)は「貫」、体積は「升」を基本の単位とします。
住宅建築でも長く尺貫法が用いられていましたが、長さなどはあくまでも基本単位であり時代や地域によって基準(度量衡)が異なりました。
尺貫法からメートル法へ
明治維新を経て工業がめざましく発達し、外国との交流が盛んになると、長さや単位が一本化されていないことで不都合が生じました。
そこで1875年(明治8年)にメートルとキログラムを基本とし、度量衡の国際的な統一を目的としたメートル条約がパリで締結されます。
日本は1885年(明治18年)にメートル条約に加盟し、1891年(明治24年)には度量衡法が制定され、尺貫法とメートル法を併用する時代が戦後まで続きました。
1959年(昭和34年)に尺貫法が廃止されたことにより、住宅建築や設計における正式な書面などはメートル法に完全移行されます。
これにより正式な取引や証明に尺貫法を用いることは禁止されますが、取引にあたらないものや併記・注釈などでは使用しても問題ないとされています。
メートル法が浸透した現在でも「坪」「畳」「間」といった、日本文化に馴染み深い単位が使われ続けている所以です。
モジュールとは
現代住宅の寸法の基準のことを「モジュール」といいます。
日本住宅に用いられるモジュールは、主に「尺モジュール」「メーターモジュール」の2種類です。
それぞれ長さの基準が異なるため、メリットとデメリットを考慮したうえでどちらのモジュールを採用するかを選択しましょう。
尺モジュール
尺モジュールとは、日本の住宅建築においてもっとも多く使われている寸法規格です。
尺モジュールは1尺=約303mmととらえ、3尺×3尺(910mm×910mm)を1マスとします。
実は910mmは江戸間の寸法で、関西では980mmの京間の尺モジュールが使われていました。
しかし現在では関西でも910mmが主流となり、日本で流通している建材や既製品の設備の多くが尺モジュールを基本としたサイズで作られています。
そのため他のモジュールで住宅を設計すると建材費が高くついたり、家具や設備のサイズが合わずオーダー料金が発生したりすることも。
既製品の基本サイズを考慮したうえで住宅設計をおこなうと、予算を立てやすくなり家具や設備もバランスよく納められるでしょう。
メーターモジュール
メーターモジュールとは、1000mm×1000mmを1マスとする寸法規格です。
メーターモジュールは1mを基準とするため、完成後の住宅の寸法を把握しやすいというメリットがあります。
またメーターモジュールは尺モジュールよりも基準となる寸法が9cm大きいため、最低面積が広くなりより大きな家づくりを実現できます。
広い廊下を設けたり、トイレやお風呂などの水回りにゆとりをもたせたりできることから、特にバリアフリー住宅などを建てる場合に適したモジュールといえるでしょう。
クッションフロアの幅が決まっている理由
クッションフロアの長さは自由に決めることができますが、幅はある程度決まったサイズで販売されています。
ここでは、クッションフロアの幅にまつわるヒミツを解説します。
一般的なクッションフロアの幅は尺モジュールに基づいている
クッションフロアの多くは、182cm幅で作られています。
一見、中途半端なサイズに思われますが、クッションフロアの幅は尺モジュールに基づいて設定されています。
尺モジュールで建設された日本住宅の床に敷きやすい幅により、必要量を無駄なく使用できることが大きなメリットです。
カットロスを最小限に留めることで作業の手間を軽減し、継ぎ目を少なくして仕上がりの完成度を高めることも考慮されています。
またトイレや洗面所などの狭い床に合わせやすいよう、182cm幅を半断した91cm幅のクッションフロアもあります。
91cm幅は軽量で持ち運びや施工がしやすいため、女性一人でも手軽に取り扱うことができます。
メーターモジュールに対応した幅広のクッションフロアもある
メーターモジュール規格に基づいた、200cm幅のクッションフロアも展開されています。
尺モジュールの住宅でも広い床に敷く場合は、メーターモジュールサイズのクッションフロアを組み合わせると作業にかかる時間や工程を短縮できます。
さらに継ぎ目の処理も最小限で済むため、仕上がりの美しさにもつながります。
クッションフロアの幅は床のサイズに合わせて選ぼう
91cm幅のクッションフロアは軽量で取り扱いやすいため、一人でも手軽に施工できます。
ただし狭い床に適した幅サイズにより、広い床に用いると継ぎ目が多くなり作業に手間がかかります。
一方で182cm幅のクッションフロアは大きく重量があることから、91cm幅に比べると持ち運びにくく、長さによっては複数人で施工しなければならないことも。
しかし尺モジュール規格の広い床に用いると、継ぎ目が少なくなり作業工程を大幅に削減できます。
また尺モジュール規格のお部屋だからといって、必ずしも91cm幅や182cm幅のクッションフロアを敷かなければならないというわけではありません。
床の広さに合わせて200cm幅のものも上手に組み合わせることで、より継ぎ目の少ない美しい床を実現できます。
特にクッションフロアDIY初心者さんは、不慣れな作業に悪戦苦闘することも少なくありません。
クッションフロアの継ぎ目が少ないほど作業工程もシンプルになり、難易度の高い柄合わせの手間も減ります。
お部屋の床に適した幅サイズのクッションフロアを選択して、より簡単に完成度の高い床を実現してくださいね!
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赤田加奈子
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