
多くの飼いネコは屋外に出る機会はあまりなく、家の中で一生を過ごします。そんな愛猫のためにも、快適なおうちを用意してあげたいですね。
今回の記事では、ネコが楽しく気持ちよく暮らすことができ、安全面にも考慮したおうち作りのコツを獣医師が紹介します。シニア期を迎えたネコへのバリアフリー対策も解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
\人もペットも快適!ハッピーな床/
もくじ
居住スペースは、縦の動きも取り入れられるように作る

イヌの運動は地面を走るなど横の動きなのに対し、ネコは横の動きに加え、高いところに登る、ジャンプするといった縦の運動もします。そのため、ネコのおうち作りは三次元の空間作りが必要になります。
ネコの運動不足やストレス解消のため、部屋の中にキャットタワーを置いたり、高さのある家具を並べて高低差を作り出してあげましょう。
ネコのおうち作りで必要なグッズ

ネコの飼育には、下に紹介するグッズが必要です。
・ベッド
・キャットタワー
・爪とぎ
・キャリー
・トイレとネコ砂
・フード
・食器
・おもちゃ
それぞれ、選び方のポイントなどを紹介します。
ベッド
ネコ用のベッドにも色々な種類がありますが、マット型の平らなものよりは囲われたタイプのベッドを好むネコが多いです。こうしたタイプのベッドは熱が篭りやすいので、夏は素材や置く場所に気をつけましょう。
キャットタワー
キャットタワーはネコのおうちには欠かせないアイテムです。縦の動きを自然に取り入れられるだけでなく、高いところでくつろいだり、他のネコや飼い主に邪魔されることなく1人になることもできます。
爪とぎ
ネコは、爪のお手入れの時や気分転換に爪とぎをします。爪とぎがない場所では家具や壁で爪を研いでしまうこともあるので、必ず用意しましょう。
爪とぎには、キャットタワーの柱に縄が巻かれているものや、段ボール製のものなど、色々なタイプがあります。ネコの好みもあるので、最初は幾つかの種類を用意し、様子を見てみましょう。
キャリー
キャリーはドアを開けて居住スペースに置いておきましょう。これは、動物病院に行く時や災害時にネコを入れるために、キャリーに慣れておく必要があるためです。
トイレ
ネコは綺麗好きな動物です。トイレが汚れていたり、自分用のトイレに他のネコの排泄物があったりすると排泄を我慢し、病気になってしまう子もいます。複数飼いのお宅ではネコの頭数分トイレを置きましょう。排泄のたびに掃除するのが理想ですが、少なくとも1日2回は掃除をしましょう。
フードや食器
発育段階に合わせたフードを購入し、安定感のある食器に入れてあげましょう。動物は同じものを食べ続けていても大丈夫なように体ができているため、フードは1種類用意すれば問題ありません。
おもちゃ
ボールなど運動を促すおもちゃや、一人でも楽しく遊べるおもちゃなど幾つかの種類を用意しましょう。
愛猫のための安全な環境づくり

屋外に比べたらおうちの中は安全ですが、飼い主は気づかなくてもネコにとっては危険なところもあります。
水回り
お風呂や洗濯機、水洗トイレに落ちて溺れるといった事故が起こることがあります。洗面所やお風呂場のドアは閉め、必要なら鍵をかける、洗濯機や乾燥機を使っていない時は蓋をしておくといった対策をとりましょう。
やけど
ネコは暖かい所が大好きです。ストーブの前でウトウトしているうちに尾やヒゲの先を焦がしてしまうといった事故も起こります。ストーブの周りにガードを置くなどして、必要以上にネコが近づけないようにしましょう。
転落
家具の隙間に落ちたり、ベランダから転落するといった事故が起こることがあります。家具の隙間は人にとっては死角になるので、あらかじめ板で塞ぐなどしてネコが入れないようにしましょう。
ベランダは、ネコが屋外に逃げたり、地面に落下したり、集合住宅では隣の家に入ってしまったりといったトラブルも起きやすいです。基本的に、ネコはベランダに出さない方がよいでしょう。
感電
家電のコードを噛んで感電してしまうこともあります。コードの保護カバーがホームセンターで売っているので、つけておきましょう。
居住スペースにはマットを敷くのがおすすめ
ネコは自分で爪とぎをして爪の長さを整えていますが、といだばかりの爪は特に鋭く、フローリングに傷がつきやすくなります。そのため、ネコの居住スペースにはペット用のマットを敷いてあげましょう。

フローリングの傷防止の他にも、
・高いところから飛び降りた時の、階下への騒音対策やネコの足の保護のため
・トイレ周りに飛び散ったネコ砂の掃除を楽にするため
といった理由で、ペット用マットの使用をおすすめします。
\愛猫との快適な毎日に/
シニア期を迎えた猫のおうち作り

私たち人間と同じく、ネコの世界でも高齢化が進んでいて、20歳を超えるネコも珍しくなくなりました。体や機能の衰えに合わせて環境を工夫してあげましょう。
段差を減らす
歳をとって筋肉が衰えてきたネコは、高いところに飛び乗ったり、段差を登るといった動きが段々とできなくなります。このような変化に気づいたら、踏み台やスロープを置いて段差を小さくするといった配慮をしてあげましょう。
寒さを感じない工夫
シニア期のネコは体温調節が苦手になります。寝ている時間が増えるので、タオルや毛布などをおいて暖かく眠れるようにしましょう。保温マットや、お湯を入れたペットボトルをタオルで包んで近くにおいてあげるのも効果的です。
意外と多い、家具やペット用品の誤食

ペットの誤食というと、玉ねぎやニンニクなどの野菜、タバコや薬といったものを思い浮かべる方が多いです。もちろんこれらの誤食も多いので、キッチンに入らないようにしたり、危険なものの管理を徹底するといった対策は必要です。
それ以外にも、
・カーテン、枕、クッション、おもちゃなど布類
・ペットシート、ペットマットなどペットの周りにあるグッズ
を誤食して受診するネコも多いです。
布やペットシート、ペットマットを噛みちぎっていたり、歯形がついているなどのサインを見つけたら、ネコの居住スペースから移動させるなどの予防策を取りましょう。誤食してしまったら動物病院を受診してください。
まとめ

この記事では、ネコが快適に過ごせるおうち作りを獣医師の視点から解説しました。
・ネコの居住スペースは、キャットタワーや家具の配置で高さを作り出してあげることが必要
・家具を守るため、爪とぎを置いたり、フロアマットを敷くといった対策が必要
・おうちの中の事故には、水回りで溺れることやストーブでのやけど、転落、誤食といったが多い
・シニア期を迎えたネコには、段差を減らすなどバリアフリー対策を行う
おうちの中を人にもネコにも住みやすい環境にして、ネコと楽しい毎日を過ごしましょう。
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安家 望美

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