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今井晶子の床ノススメ【床旅⑧:そうだ、奈良行こう】

床旅

今井晶子の床ノススメ【床旅⑧:そうだ、奈良行こう】

2026.02.23 (最終更新日:2026/01/21)

2021年《ラグリエwebサイトオープン1周年》特別企画インタビューで直接お会いすることが叶い、そのご縁からラグリエ読みもので、今井さん書き下ろしコラムを掲載させていただいています。

今回の床旅は、「奈良・京都」へ床探しに出かけられた、今井さんの床旅レポート後編。『床旅:奈良』編です。

今宵も床追い人、今井晶子さんの世界を
どうぞお楽しみください。

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京都・橋本の香から奈良へ。

クラシックホテルパスポートというサービスを利用して、密かにクラシックホテル巡りをしていたこの数年。

コロナの影響で期間が延長されたり宿泊費の割引があったりしたことで奇跡的に条件をクリア。

パスポート特典の宿泊券をゲットできたので、クラシックホテル巡りスタートの地・奈良ホテルへとやってまいりました。

床と建築美に浸る奈良ホテル

京都も奈良も歴史ある場所ですが、それぞれの雰囲気があります。奈良の方がのんびりしているというか空気がゆるやかな気が。奈良公園内にあるという立地のせいもあるかもしれません。

だいぶ前ですが『鹿男あをによし』という奈良を舞台にしたファンタジー小説原作のドラマがなぜか心にメガヒットし、そのイメージもあって奈良が好きなのかもしれません。

鹿のシルエットイラストがあしらわれ
た灯篭

鹿のシルエット入りの灯篭がお出迎え。ホテルまでの道を照らして導いてくれるかのようです。

奈良ホテル本館の玄関

照らされた道の先には“日本近代建築の父”辰野金吾設計の建物が待っています。

ホスピタリティも素晴らしく帰って来てよかったと感無量です。1度来ただけやん!と心の中で1億総ツッコミが入ります。

約90年前のグラスとバーの床

まずはさっそくバーへ。

今井晶子の床旅で訪れた奈良ホテルのバー入口。木製の扉とすりガラス、赤いカーペットが印象的なクラシカルな空間。
バー入り口。ガラスも雰囲気があります。当時からのものでしょうか

ホテルのバーもいい床があることが多いのです。

今井晶子の床旅で訪れた奈良ホテルのバーの床。赤を基調とした格子柄のクラシカルな絨毯に、繊細な模様が織り込まれている様子。
バーの床。数年前に訪れた時に捕獲しておいた床。
ちゃんと撮れていたものがあってよかったです。

しかもこちらのバーでは、満州国皇帝 溥儀がホテルに来館したときに新調した、約90年前のグラスでカクテルを楽しめると知り(+体験料)それは是非体験してみたいと。

入店してすぐさま床捕獲…したのですが、あとから見たら手ブレが。一期一会。しそんじると取り返しのつかないこともあるので気をつけたいものです。

今井晶子の床旅で訪れた奈良ホテルの庭。奈良公園に隣接する敷地を鹿が通り過ぎる様子を捉えたものの、動きが速くブレた一枚。
奈良公園内にあるため鹿が庭を通ることも。
鹿のベストショットを撮ったつもりがブレブレの写真

ラスの数は限りがあるので他の方のオーダーで出払っている場合もあるのですが、タイミングよくオーダーできました。

今井晶子の床旅で訪れた奈良ホテルのバー。満州国皇帝・溥儀の来館時に新調された約90年前のグラスで提供されるカクテルを楽しむ様子
約90年前のグラスでカクテルを楽しめる。

いざ目の前にすると万が一割ったり欠けたりしてしまったら取り返しがつかない…と緊張が。でも手に取るとなんだかタイムスリップしたような、時間が流れ込んでくるような不思議な心持ちに。

今井晶子の床旅で訪れた奈良ホテルのバー内観。赤いカーペットと木製カウンターが映える、重厚感のあるクラシックな内装。
クラシックな趣ある内装 。

美しいグラスとカクテルを堪能し京都から奈良へのこの日は終了。

朝食会場で床も堪能 奈良ホテルモーニング

ホテルといえばモーニング。

今井晶子の床旅で訪れた奈良ホテルの朝食会場ダイニングルームの床。花文様が広がるカーペットは比較的新しい印象ながら、華やかな配色が気分を高めてくれる。
朝食会場のダイニングルーム床。
古いものではないと思いますが華やかで心沸き立ちます。
今井晶子の床旅で訪れた奈良ホテルのダイニングルーム。高い格間天井と吊り下げ照明が空間全体に品格と開放感をもたらしている様子。
高い格間天井と照明も素晴らしい 。

勝負の朝。奈良ホテルは茶がゆの和定食があり、でもホテルの朝食といえばオムレツ…と心は千々に乱れます。ここに奈良漬けタルタルソースがかかったエッグベネディクトも参戦。

苦悶の中、メニューをよく見ると選べるパンの中にフレンチトーストの文字が。

エッグベネディクトをチョイスしてもパンをフレンチトーストに? いやいやエッグベネディクトもパンだよ? そんな暴れん坊なことができるわけが…とスタッフにお聞きしたら、なんとその組み合わせも可能と。

奈良ホテルの朝食。エッグベネディクトにフレンチトーストを合わせた、食べ応えのあるブレックファーストのプレート。
わんぱくブレックファースト。

奈良ホテルならではのメニューが決め手となり、エッグベネディクトにパンはフレンチトーストというわんぱくブレックファーストとなりました。

あまりのわんぱくさにお腹がまんぷくの向こう側へ。欲張った自分を後悔することになるのは自明の理でした。

チェックアウトまで床散策 奈良ホテル館内めぐり

朝食の後はチェックアウトまで館内の床散策です。

ロビーや階段も見ごたえがありますが、照明や調度品なども素敵で視野は360度体制です。

奈良ホテルのロビー。吹き抜け上部に設えられたシャンデリアと、木組みの天井が印象的な空間。
ロビーの吹き抜け上部のシャンデリア。
奈良ホテルの館内。階段や吹き抜けに設えられた擬宝珠付きの高欄が、和洋折衷の意匠を際立たせている様子。
吹き抜けの手すりの擬宝珠高欄。
奈良ホテルの館内。赤いカーペットが敷かれた階段と、手すりに配された擬宝珠付きの高欄が印象的な空間。
階段の手すりの擬宝珠高欄 。
奈良ホテル本館ロビー「桜の間」。深い赤地に文様が配された、格式を感じさせるカーペットの床。
本館ロビー「桜の間」で床発見。
奈良ホテル本館ロビー「桜の間」。明治期の趣を残す内装と、文様入りカーペットが広がる落ち着いた空間。
明治の趣ある桜の間。
数年前に奈良ホテルを訪れた際に撮影した床。曲線的な文様が連なる、黄・赤・茶を基調としたレトロなカーペット。
数年前に訪れた時に捕獲した床①
数年前に奈良ホテルを訪れた際に撮影した床。赤を基調に、蔓草文様が描かれたクラシカルなカーペット。
数年前に訪れた時に捕獲した床②
奈良ホテル本館の廊下。現在は使用されていないものの、大正3年に設置された装飾的なスチームヒーター。
本館廊下にあるスチームヒーター。
今は使用されていないけれど大正3年に設置されたものなのだそう。
奈良ホテルのエントランス。赤いカーペットに「Nara Hotel」の文字があしらわれた、印象的な床マット。
奈良ホテルのステキな床マット。
奈良ホテル外観。

商店街で床をたどる 奈良駅までの道

さあ帰りの新幹線まで制限時間いっぱいフルスロットルで床探しです。遠征は詰め込めるだけ詰め込むスタイル。

奈良駅までの商店街は数年前に訪れた時に床チェック済み。

遠征で再訪はなかなかないことなので、こういう場合は床生存チェックをします。床は張り替えられてしまうことも多々あるので残っていると喜びもひとしおです。

奈良駅へと続く商店街の通り。アーケード天井が続き、飲食店や土産物店の看板が並ぶにぎやかな風景。
奈良駅までの商店街。
奈良の商店街の床。色味の異なるランタン形タイルが並び、補修されたと思われる部分も継ぎ目が美しく、職人の丁寧な仕事が感じられる。
生存確認床。色違いのランタンタイプタイル。
どちらかが補修されたタイルだと思うのだけれど繋ぎが綺麗で職人技を感じます。
鹿と草花の意匠があしらわれた奈良のマンホール蓋。石畳の上に円形デザインが映える。
かわいいマンホール蓋も発見。
奈良の商店街に残る、生成り色の八角形タイルと淡いグリーンの菱形タイルを組み合わせたレトロな床。
奈良の商店街にある、淡いブルーとアイボリー、グリーンの小さな正方形タイルが格子状に並ぶ床。
この2点は数年前に撮ったもの。 床生存は確認。

金魚の街で床探し 大和郡山商店街

さらに奈良駅から大和郡山へ。金魚の名産地として有名です。

商店街もあるらしいいので期待が高まります。とはいえ滞在可能時間は2時間弱といったところ。うっかり帰れなくならないようにしなければ!

大和郡山の郡山駅前商店街入口。「郡山駅前商店街 ふれあいの街」のアーチ看板と、角にあるコンビニが見える街並み。
大和郡山商店街。
大和郡山の郡山駅前商店街。「ふれあいの街」のアーチ看板の下に、シャッターが閉まった店舗と昔ながらの看板が並ぶ街角。
大和郡山商店街入口。
金魚の街として知られる奈良県大和郡山のマンホール蓋。金魚のイラストと「わが町」「やまとこおりやま」「げすい」の文字が描かれている。
金魚の街らしいマンホール蓋発見。
大和郡山商店街にある「山本陶器店」の外観。レトロな建物正面に店名の看板が掲げられ、店先に陶器や雑貨が並んでいる。
床はなかったのですが良い外観のお店がいろいろありました 。

時間いっぱい練り歩いたのですが、これは!というものに巡り会えず。縁がないこともよくあります。

いつでもどこでも出会いがあるわけではないからこそ、いつでもアンテナを張ってチャンスを逃さないようにしたいものです。

奈良県大和郡山市にある源九郎稲荷神社の境内。朱色の社殿と狛狐が並び、参道正面から社殿を望む風景。
歩いていて見つけた源九郎稲荷神社。
日本三大稲荷のひとつとのことで、せっかくなのでお参りしました。
大和郡山商店街の店舗外観。ガラス扉越しに、幾何学模様が連続するタイル柄の床が見える様子。
外から。
大和郡山商店街の店舗入口付近の床。茶系を基調にしたレトロな幾何学模様タイルが敷かれ、店内の椅子の脚が一部写り込んでいる様子。
お昼の営業がおわっていたりで時間切れもあり、以前撮ったことのある床はあきらめました。

短い滞在時間でしたが雰囲気ある商店街を散策でき、やり遂げたことに満足しつつ大和郡山を後にしたのでした。

新幹線の座席テーブルに置かれた駅弁。波や筆文字のデザインが施された紙帯で包まれた弁当箱が、車内の青いシートを背景に写っている様子。
帰りの新幹線にて。
新幹線の座席テーブルの上に置かれた「柿の葉寿司 たなか」の鮎すし。笹の葉とフィルムに包まれた押し寿司の上に、一本丸ごとの鮎がのせられている様子。
「柿の葉寿司 たなか」の鮎すし。
期間限定で1ヶ月間だけ販売されているのだそう。
木のテーブルの上に置かれた「純本生わらび餅(二切れ入り)」の箱。赤茶色と白の落ち着いたパッケージに、菓匠「千壽庵吉宗」の文字が入っている。
帰宅後に。
木のテーブルの上に置かれた「純本生わらび餅(二切れ入り)」菓匠「千壽庵吉宗」の商品。
「千壽庵吉宗」の純本生わらび餅。

数年にわたったクラシックホテルの旅はこうしてこうして奈良に始まり奈良で
終わり、円環となったのでした。

【番外編】最後にもう一度は会いたかった床へ 名古屋純喫茶

2025年11月でお店を閉められると知り、行く機会をずっと探っていた純喫茶が愛知県にありました。

書籍「足の下のステキな床」にも掲載されているのですが、私は未訪問のままだったのでどうしても行かねばならないお店でした。

京都の橋本の香は午後、朝立ち寄ってから京都に移動できるのではと予定を組みチャレンジ。

まだ11月までは期間がありましたが混んでいて入れないことも考えられたので賭けではありましたがダメだったらまたチャレンジしようと。

喫茶パスカル青山の店内入口付近の床。淡いグレーとベージュの円形模様が連続するタイル床に、赤い靴と「いらっしゃいませ」と書かれた赤いマットが写っている。
あまりにも可憐な床。

運良く帰られるお客さんと入れ違いに入店でき、最高なモーニングをいただけました。

喫茶店のテーブルに並んだモーニングセット。白いカップのブラックコーヒー、あんこをのせた厚切りトースト、ゆで卵、ミルクピッチャーが整然と配置され、奥にはグリーンのソファ席が見える。
すべてがちょうどいいバランスの素敵なモーニング。
喫茶パスカル青山の店内全景。白いアーチ状の柱越しに、オレンジ・イエロー・グリーンで構成された立体的な壁面レリーフが広がり、手前にはグリーンのソファ席と白いテーブル、天井にはクラシックなシャンデリアが配置されている。
喫茶パスカル青山の店内壁面。オレンジ・イエロー・グリーンを基調にした、朝日や植物を思わせる立体的なレリーフ装飾が広がり、手前にはグリーンのソファ席とテーブルが配置されている。
唯一無二の内観。

ママさんともお話しできて無事床もゲット。

ママさんのお人柄が染み込んだ本当に素晴らしいお店でした。スタッフの皆さんのホスピタリティも素晴らしく、一見さんの私も心地よい時間を過ごせました。長い間お疲れさまでした。さあ京都へ(最初にもどる)

喫茶パスカル青山の外観。白い建物にグリーンの装飾パネルとテントが配され、「パスカル青山」の看板が掲げられている。建物前には駐車スペースがあり、レトロで印象的な佇まいが伝わる。
外観も可愛らしい。

床旅⑧ 奈良編を終えて

奈良ホテルの館内で出会った床、奈良駅まで続く商店街での床の生存確認、そして番外編の名古屋純喫茶まで、今井晶子さんの床旅を通して、さまざまな場所の床の表情をお届けしました。

床は、建物や街の記憶を静かに受け止めながら、長い時間を重ねていく存在です。張り替えられてしまうことも多いからこそ、残っている床と出会えたときの喜びが、より深く感じられるのかもしれません。

これからもラグリエ読みものでは、今井さんの床旅を通して、足元から感じる建物や街の魅力をお届けしていきます。

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