
歳をとった猫は、体や行動に変化が現れてきます。今までできていたことができなくなった時は、飼い主が介護を始める時です。
この記事では、猫の介護はどのようなことをしてあげたらいいのか、食事、トイレ、お口のケアの具体的な方法を解説します。参考になさってください。
\シニア期のネコちゃんにぴったり/
もくじ
猫の介護は猫が暮らしやすいように補助をする

介護というととても重労働で深刻なことに思えますが難しく考えなくて大丈夫。年老いて困っている猫が過ごしやすいように手を添えてあげる、今までより少し心を配ってあげる。それだけでも立派な介護です。
10歳前後が介護が始まる目安
猫の10歳は人間の約60歳に相当します。人でも現代の60歳はまだまだ現役の方もいらっしゃるように、猫もそれぞれの健康状態によって、何歳から介護が始まるかははっきりわかりません。一般的には、10歳前後が心身に老いのサインがでてくる目安と考えて起きましょう。
寝たきりになることは少ない
猫は犬と比べ、体の機能の衰えがはっきりと現れることが少ないです。これは、猫は体重が軽く、その割に筋肉が発達していて身軽であることが理由です。そのため、寝たきりになることも少ないです。
どんな介護が必要になる?

猫の介護では実際にどんな手助けをしたらいいのか、具体的に説明します。
食事
歳をとった猫は、歯が抜けたり噛む力や飲み込む力が弱くなったりするため、固いものを食べるのが苦手です。ドライフードのような固くて乾燥したものは食べなくなってしまうこともあります。
食事の対策としては、以下の方法を試してみましょう。
・ドライフードはお湯でふやかしたり、煮込んだりして食べやすくする
・ウェットフードなど柔らかい種類のフードに変える
・シニア用のフードに変える
自力で食べられなくなったら動物病院で流動食を購入し、スプーンやスポイトで口の中に入れてあげるなどのもう1段階進んだ介助が必要になります。
この時期になれば、食べないと体力が落ちてしまうので、命を繋ぐためにも栄養バランスよりも食べられるものを与えることが大事です。
お水はしっかり飲ませよう
猫は普段からあまり水を飲まない動物ですが、歳をとると動くのが厄介になるため、より一層飲水量が減ってしまいがちです。
シニア期の猫は、慢性腎臓病や結石、膀胱炎などの尿路系感染症などの病気にかかりやすくなります。
これらの病気は、おしっこが減ると状態が悪化し発症することもあります。病気を防ぐためにも、シニア期になってもしっかりお水を飲ませる工夫が必要です。具体的には、
・水飲み場の数を増やす
・冷たい水ではなく、ぬるま湯を汲んであげる
・ウェットフードに変更し、食事と一緒に水分もとらせる
などの方法を試してみましょう。
食器の周りは掃除のしやすいマットを敷く

飼い主の負担を減らすためにも、食事スペースや水飲み場の周りは掃除をしやすいようにフロアマットを敷いておくと良いです。食べこぼしや食器をひっくり返してしまっても前もって掃除のしやすい環境を用意しましょう。
\ペットスペースの床保護に/
トイレ
猫は綺麗好きな動物です。トイレにもこだわりがあるので、一度しっかりトイレの位置や場所を学習すれば若いうちはあまり失敗をすることはありません。
しかし、歳をとって尿意や便意を感じにくくなったり、体を動かすのが大変になってくると粗相をする事が増えます。このような時は、以下のような対策を取りましょう。
・トイレの数を増やす
・足腰が弱った猫でも使いやすい形のトイレを用意する
・自力でトイレまでいけない猫にはオムツを使う
この際、気をつけてもらいたいポイントを説明します。
トイレの変更には十分気を配る
猫は自分のトイレにもこだわりがあります。歳をとった猫のためによかれと思って今までのトイレを急に変えてしまうと、嫌がって新しいトイレに行かないこともあります。
そのため今までのトイレも残しておきつつ、猫のお気に入りスペースの近くに、段差がなく足腰の弱った猫でも入りやすいトイレをもうひとつおくという対策がよいでしょう。
自力でトイレまでいけない状態になったら、ペット用のオムツを履かせます。ペット用のオムツは、最近ではペットショップだけでなくドラッグストアでも販売されています。ペット用オムツは尻尾の部分に穴が空いているので便利です。
排泄の回数、排泄の様子も気にしてあげよう
元気な若い猫の排泄回数の目安は、うんちが1〜2日に1回、おしっこは1日に2〜3回ほどです。
シニア期になると、運動量が減って食べる量や飲水量も少なくなるので、うんちやおしっこの回数や量が若い頃と比べて多少減ってしまうのは問題ありません。しかし、極端に数が増えたり減ったりしている場合はホルモンや泌尿器系の病気の可能性もあるので動物病院を受診しましょう。
また、
・おしっこの時痛そうにしてる
・踏ん張っているのにうんちがなかなか出てこない
などの排泄時の様子の変化があれば同じく、獣医師に相談してください。
お口のケア
歳をとると、唾液の分泌量が減ったり、毛づくろいをしなくなることで舌や口周りの筋肉を使うことが減ります。その結果、口腔内の環境が変わって歯周病にかかりやすくなります。猫の口臭が気になる方もいます。
猫が嫌がらないようであれば、歯磨きなどのオーラルケアをしてあげましょう。動物病院では、歯垢や歯石がつきにくくなる歯磨き粉を取り扱っているところもあります。
猫にも認知症はあるが、変化は分かりにくい

認知症は歳をとって脳の神経細胞が減少することによって発症します。猫にも認知症になることはありますが、犬のようなはっきりした症状はでない事が多いです。
例えば、
・ぼーっとしている時間が長くなる
・わけもなくウロウロ動き回る
といった行動の変化がみられることもあります。
認知症は薬を飲んでも元のように治ることはありません。しかし、猫に眠りやすくなる薬を飲ませたり、気持ちが落ち着く薬を飲ませたりと困った症状に対応することは可能です。認知症の症状でお困りの場合は獣医師に相談してみてください。
まとめ

この記事では、猫が歳をとって介護が必要になった時の具体的な方法を紹介しました。
・噛んだり飲み込む機能が衰えるので、飲み込みやすい形状のフードに変更する。
・シニア期の猫に多い泌尿器系の病気を防ぐためにも、水分はしっかり取れるよう工夫する
・粗相が増えてきたらトイレの数を増やしたり、トイレに入りやすい形状のものに変更する
・歯周病予防に、可能なら歯磨きをしてあげる
介護を難しく考えすぎず、年老いた猫に手を添えてあげるという気持ちで一緒に暮らせるといいですね。
\ペットとの快適なまいにちに/
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安家 望美

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